野球の起源と歴史

野球のはっきりした起源ははっきりとわかっていませんが、もっとも古い形跡は古代エジプト時代にみられるようです。ロンドン大英博物館に展示されている絵の中から2000年以上前にバットとボールを使って遊んでいた様子がうかがわれます。

野球とよく似た競技では、現在ルーマニアの一部であるワラキアで競技されている「オイーナ」というスポーツ(モルドバやルーマニアには2つの連盟があり、現在でもヨーロッパで競技されている)やロシアで14世期ごろ生まれた「ラプタ」という競技もあります。

バットとボールで競技するゲームは1330年代、フランスの修道士の間で流行ったようです。同時期に詩人のWilliam Pagulaという詩人もソフトボールという名前のゲームについて触れているのですが、この競技はもともと酪農場で働く乳絞りの女たちが乳搾りの際に使っていた三脚の丸いすをウィケットにして遊んでいたもののようです。

一方、ドイツでは12人で競技する「シュラークバル 」というゲームが古くからありますが、これはキール地方で今でも親しまれる競技で、年にいくつかの大会もその地域で開催されています。

ベースボールの片鱗が見られるようになるのは「ラウンダーズ」という競技からです。このラウンダーズが発展した形のゲームが19世紀のアメリカで競技され「タウンボール呼ばれました。

ラウンダーズはいまでもイギリスの島ではゲーリックフットボールやハーリングなどとともに競技され、その島が承認するゲーリック体育協会 (www.gaa.ie)も存在しています。ラウンダーズということばが歴史上もっとも古い文書にのこされているのは1744年にイギリスの出版社ジョン・ニューベリーから出版された「小さなかわいいポケットブック」という児童書です。この本にはよく知られている韻文詩などがあり、その中でベースボールとラウンダーズが混同してでてきます。

ベースボールとラウンダーズはともにクリケットを起源にしたものらしく、もともとはフラマン人の羊飼いたちによって14世紀ごろイギリスにもたらされた遊びでした。17世紀にはいってからスポーツとして本格的に競技されるようになりました。

また18世紀にベースポールとよばれるスポーツがイギリスで競技されたというしっかりとした証拠が残されています。イギリスを代表する作家ジェーン・オースティンの小説「ノーザンガー・アベイ」の中には(オースティンの死後である1818年に出版されたが、小説自体は1970年代に執筆された)登場人物のキャサリン・モーランが「本よりもクリケット、ベースボール、乗馬しながら散歩するのが好」、と述べるくだりがでてきます。また、ドイツのヨハン・グーツ・ムーツが1796年に書いた本では、人気のある娯楽としてイングリッシュ・ベースボールというものがある、との記述もみられます。

これだけでの証拠ではわたしたちが今日親しんでいる野球とイギリスの競技が同じであると結論づけることはなかななか難しいことかもしれません。実際ブリティッシュベースボールと呼ばれる競技は存在しており(www.britishbaseballassociation.co.uk)、現在もウェールズで競技されているのですが、この競技は11人制、クリケット同様ボウラー(投手)が一人というもので、さらに各チームが2イニングプレイし、11人すべてに打順が回ったあと一回が終了。選手がベースに戻るごとに得点がはいる、などルールが少々違います。

 

18世紀

18世紀になると野球は植民地へとひろがり、そこから大きく飛躍します。元投手でスポーツ製品会社のアル・スパルディングは、アブナー・ダブルダイ(セミノール戦争の英雄でその後アメリカ市民戦争の将官になる軍人)が1839年に原住民のインディアン以外人が住んでいないアメリカのクーパーズタウンという町でベースボールという競技を発明したという話を発見したといいます。ただ、この話は少々できすぎていると今では考えられており、ダブルベイ自身も否定はしていないのですがおそらくこの説は捏造であると思われています。ただ、私たちが現在知る限りダブルベイがダイヤモンド型の球場のアイディアには何か関係しているのではないか、という疑問もあるということです。野球ルールの実際の考案者はニューヨークの書籍販売人のアレクサンダー・カートライトで、1839年にニッカーボッカズというチームを作り、1845年にルール書を書きました(1953年に議会でカートライトの著作であると承認された)。そして1846年6月19日にニュージャージーのホーボーケンにて初の試合をアメリカで開催しました。しかし、アメリカ大陸で初めて試合が行われたのは、このニュージャージではなく、1838年6月カナダオンタリオであったことがわかりました。

 

野球組織団体の設立

その後、野球はプロスポーツ団体としてはじめて設立された競技となりました。1850年野球選手協会(NABBP)が生まれ、ナショナルリーグが1876年より開始しました。

アメリカ人はすぐに世界試合の開催に着手し、1878年にはエステバン・ベッランというプロ選手がキューバにて野球を紹介(ここからカリブ全地域に伝わった)、そしてホラス・ウィルソンにより1870年バットとボールは日本にもたらされました(その後まもなく韓国や台湾にも普及)。

オーストラリア、ニュージーランド、南太平洋でも1888年と1889年に大会が開かれました。

1889年2月にはアルバート・スパルディングによって企画されたツアーによりイタリアにも競技が紹介され、世界選手権が18世紀終わりにイギリスで行われました。

20世紀にはいると野球競技はいよいよ国際的になり、1903年にワールドシリーズが開催され、アメリカリーグがナショナルリーグとはじめて対戦しました。その後野球リーグの組織化は世界中に広まり、1922年オランダ、1934年オーストラリア、1936年日1938年プエルトリコ、1945年ベネズエラとメキシコ、1948年にイタリアの野球リーグがそれぞれ発足しました。