近代オリンピックの第一回大会は1896年4月6日にアテネで開催された。
第一回近代オリンピックは14カ国241名のアスリートが参加し、史上最大の国際スポーツ競技大会として大成功を収めたとして歴史に残っている。
この競技大会では陸上、サイクリング、フェンシング、体操、セーリング、ボート、水泳、テニス、重量挙げ、レスリングの競技が行われた。
大会選手は男子のみ、出場国もアメリカを除くとあとはヨーロッパ諸国だった。
ギリシャの王ゲオルギオス1世(元デンマーク王子)は競技終了の翌日に選手らを招いて午餐会を催した。彼はそこで110メートルハードルで金メダルを獲得したアメリカ人アスリートのトーマス・カーティスと出会った。
当時40歳のゲオルギオス1世はアメリカ人のルーツに興味をもち、カーティス(当時23)に競技終了後も残って王室にもっとアメリカについて教えてほしいと頼んだ。
カーティスが王室一家とのピクニックに参加した際、ゲオルギオス1世の長男で後のコスタンティノス1世が野球に興味を持った。
1932年に出版した彼の著書「 High Hurdles and White Gloves」で、彼は杖とオレンジ一個で野球を説明させられたと振り返っている。
そしてまた「グレギリオス王子を投手に、王太子をキャッチャーに任命すると、わたしが打者を務めました。最初にオレンジの一球を、わたしはつい強く叩きすぎてたのでオレンジが破裂してしまい、王太子の最高級の制服の胸にかかってしまいました」と加えた。
このエピソードのせいで野球競技が1900年のパリ大会実現を逃したかどうかはわからないが、野球はその後1904年セントルイス大会で公開競技としてオリンピックデビューを果たした。
カーティスはその時の陛下のリアクションについて「陛下はさっぱりとした態度で、クスリと笑っていらっしゃいましたが、アメリカへの興味もそこまでだったように思います」とコメントした。
栄光のオリンピック史