国内連盟特集 パレスチナに野球ソフトボール連盟誕生
27/01/2020 1 記事を読む目安時間

国内連盟特集 パレスチナに野球ソフトボール連盟誕生

プロサッカー選手のTafeshがパレスチナで野球ソフトボール連盟設立に貢献した。

2016年の秋、34歳でパレスチナ代表のプロサッカー選手Mahmoud Tafeshはエジプトにいた。彼はイラクの野球代表チームコーチと会い、野球競技に強い感銘を受けた。

Tafeshは野球について全くの無知だったが、この競技を気に入りすぐパレスチナに紹介しようと考えた。その3年後、彼はパレスチナ野球ソフトボール連盟を2017年に設立し、自らが野球ソフトボール委員会のトップに立った。

「世界野球ソフトボール連盟の一員であることを誇りに思います。これで責任も増します」と堺市で行われたWBSC総会でTafeshは通訳を介してコメントした。

Tafeshは2016年に明確が目標を持ってパレスチナに帰ったと回顧した。

「私は野球をパレスチナに取り入れるために、まずインターネットやユーチューブで動画をたくさんみて野球について研究しました。トレーニング受けず、自分で全てやりました。足りないところもあるでしょうが、4ヶ月後に野球をスタートしました。」

Tafeshは現在、地中海のエジプトとイスラエル国境にあるパレスチナのガザ地区に在住している。

「サッカー、バスケット、バレーボールをやったことがある選手たちに会って話したところ、この新しい競技にも興味を持ってくれました。最初はたった13しか集まりませんでしたが、そのうちに他のアスリートも参加して50人になりました」

Tafeshがこのプロジェクトには自費を投じた。

「自費で練習場所を借りました。お金がなくなり、ビーチで練習するようになりましたが、十分野球の練習ができましたよ。」

パレスチナ最初の野球選手は少年たちだった。

「この国ではまだ女性をスポーツに参加させることは簡単なことではありません。しかし、野球とソフトボールはサッカーやバスケットボールほど身体的な接触が多くないので、少女たちに野球の参加をさせることができました」とTafeshは説明した。

最初は20名だった女子選手の数はあっという間に60名になった。女子選手たちは長袖、ダブダブのパンツ、ヒジャブを練習中にも着用した。アンダーハンドで投球していたので、ソフトボールが奨励された。

Tafeshの選手たちはスポーツ省から寄付されたたった一つの野球グローブしかなかったため、地元の仕立て屋がレザーでグローブを作り、一人の大工が木の棒でバットを作ってサポートしてくれた。

ガザ地区では野球は今でも人気だ。

「選手たちは自分たちの動画を録り、SNSで動画を共有し始めたのです」とTafeshが振り返った。

2017年10月27日、フランスの日刊紙「ル・モンド」のSarah Koskievicがパレスチナの野球活動について記事を書いた。この記事をパレスチナ人の父とレバノン人の母をもつセネガル生まれフランス国籍のLaura Layousseの目にとまり、Laura Layousseはル・モンドを通してTafeshと連絡をとった。

Layousseはフランスの野球ソフトボール連盟(FFBS)にコンタクトを取ると、FFBSのディディエ・セミネ会長は2018年4月29日にローザンヌにあるWBSC本部に彼女を紹介。そして、野球2チーム、ソフトボール2チーム分の競技用具がTafeshの元に寄贈されることになった

「きちんとした競技用具が届き、プロジェクトをいっそう推進していこうと決めました。この企画を始めてから、多くの人に時間の無駄だとか、どうせできないだろうと言われることがありましたが、そんな言葉に負けずにやり遂げかった。」と語った。

選手の数は男性60名、女性60名、15歳以下の子供は30名まで増え、Tafeshは男子チーム5つ、女子チーム5つを作ることができた。

2018年9月までには、Tafeshは100人の男子選手と週に3回、80人の女子選手と週に一回、さらに60名の子供たちと練習している。彼はユースチーム6つからなるリーグも設立することに成功した。

2018年10月、Tafeshはガザ地区にベースボール5も導入した。

「ベースボール5は簡単にできるので素晴らしいと思いました。総会ではベースボール5のワークショップに参加しましたが、とても勉強になりました。今後はクラブに入っていない子供たちを対象に学校などにも紹介していきたいと考えています」とコメントした。

2019年1月、8チーム大会でCrescentのチームがAlahiを下し優勝した。そのほかの6チームは Shati Club、Al Karama Clun、Arab Victory Club、 Al Bureih Service Club、 Al Aqsa Club、Al Anan Sport Club。Tafeshの兄弟Ahmed が大会役員を務めた。

Ahmedの家族はみんな野球に取り組んでいる。妻は女子選手でもあルが、審判員でもある。15歳と12歳の娘二人はそれぞれソフトボールの投手と捕手だ。10歳の息子も捕手で、8歳の息子も野球を始めたばかりだ。

「私も野球をプレーし始めました。連盟で役員としてだけでなくぜひ選手としても勝ってチームにとって重要な存在になりたいです」と語った。

2019年はガザ地区では野球、ソフトボール、ベースボール5が活発に行われた1年だった。

「このプロジェクトを始めた時、5つのステップを考えました。今のところ、三段階まで到達したと思います。大会を運営し、国内オリンピック委員会とWBSCからも認められました。」

2020年の目標は残りの2つのステップに進むことだ。

「コーチ、審判員、記録員のための講習会を開催すること、さらに国際大会に出場することです、」とTafeshは最後に結んだ。