女子野球を開拓したジャスティン・シーガル「女子野球が世界でどんなに成長したかを眺められて嬉しい」

女子野球を開拓したジャスティン・シーガル「女子野球が世界でどんなに成長したかを眺められて嬉しい」
23/05/2023
WBSCは、メキシカン・ベースボール・リーグのスルタネス・デ・モンテレイのゲストコーチを務めた女性初の男子野球チームのコーチ、シーガルに話を聞いた。

女子野球を開拓してきたジャスティン・シーガルがメキシカン・ベースボール・リーグ(LMB、WBSC準会員)にスルタネス・デ・モンテレイのゲスト一塁コーチとして参加し、Mujeres en el Diamante (ダイヤモンド上の女性たち)のセミナーも開催した。

シーガルは、「メキシコの6つのプロチームのゲストコーチを務め、野球を指導する女性について活発に話してきました。女子野球が世界でいかに発展してきたかを眺めることができて本当に嬉しいです。私が女子野球を始めたころナショナルチームがある国は日本、オーストラリア、カナダ、アメリカだけでしたが、今では、パキスタン、中国、フランス、ベネズエラなど、女子野球は世界中に広がっています。私は、この成長をとても嬉しく思っています」と語った。

1975年に生まれたシーガルは、13歳のとき、野球は「男の子のスポーツ 」だとがっかりしたという。

「でも野球はみんなのスポーツです。小さい頃から女の子も男の子と同じく野球ができる機会を作って行く必要があると思います。ソフトボールも素晴らしい楽しいスポーツですが、野球とは別の競技です。それをよく認識し、それぞれの競技の素晴らしさを称えれば、女の子や女性にもバットとボールのスポーツをする機会を得ることができると思います。私にとっては野球が私のゲームであり、女の子たちにも野球が自分のゲームになり得るということを知ってもらいたいのです」

シーガルは16歳でコーチを始めた。2002年、27歳のとき、女子野球チーム「スパークス」を結成。2009年、独立系アメリカプロ野球協会のブロックトン・ロックスに移籍し、女性として初めて男子プロ野球チームのコーチを務めることになった。

シーガルはまた、2011年にメジャーリーグ(MLB)のチーム、クリーブランド・インディアンスで打撃練習で投球する初の女性となる。その後オークランド・アスレチックスで働き、2016年にはワールド・ベースボール・クラシック予選でイスラエルのコーチも務めた。

2013年当時、国際野球連盟で女子野球開発委員会の委員長だったシーガルはインタビューで「私たちは、少女や女性のための野球を実現するためには世界的にも国内的にも市場を開拓し、プレーする機会を確保する必要があります」と語っていた。WBSCはそこで彼女に、この10年でどれだけ競技が進展したかを尋ねた。

「WBSC女子野球委員会は、女子代表チームに多くの機会を提供する素晴らしい仕事をしました。これは、現在、多くの国が女子チームを持つようになったことからも明らかです。WBSCとその委員会全体でジェンダー平等を築くことは、皆をより強くすることになります。次のステップは、女子が国際的にプレーする機会を増やすことで、連盟が代表チームをサポートしながら草の根レベルで構築するのを助けることだと思います」

1998年、シーガルは非営利団体Baseball for Allを設立した。この組織は、少女たちの野球への参加を強く奨励し、その機会を提供することで、少年野球における男女平等を目指す組織だ。

「私は毎日、女子野球界にどう貢献できるかを考えています。女子がプレー、コーチ、指導者になる機会を確保するために、非営利団体Baseball For Allを設立しました。この夏、7月12日から16日までケンタッキー州エリザベスタウンで開催される全米大会では、8歳から18歳までの600人の少女たちが野球をする予定です。まだまだやるべきことはたくさんありますが、現時点、そして未来の展望にも満足しています。私たちの強みはコミュニティにあります。力を合わせることでしか成長できないのです」

WBSCは国際舞台での女子野球の発展を支援するため、2ステージ制の新しい女子野球ワールドカップを開始した。第9回大会の第1ステージは、 8月8日から13日までカナダのサンダーベイと、9月13日から17日まで日本の三次市にて12チームが2グループに分かれて開始する。

「この新しい2ステージ制は、女子野球の世界的な成長にとって不可欠です。連盟がベースボールワールドカップにチームを参加させる機会が増えるということは、少女や女性もプレーできるようにするために、より多くのリソースが投入されることを意味します。2ステージ制は、WBSCが生み出した天才的な試みです」