2020年レビュー ソフトボール オリンピックソフトボールを築き上げたドン・ポーター氏の死去 競技活動が中断されたこの1年、U-18男子ワールドカップが唯一実施
2020国際ソフトボール大会は今年初旬アクセル全開で始まった。オリンピックでのソフトボール復帰に向けて期待が高まったこの歴史的な1年の始まりは、WBSC U-18男子ソフトボールワールドカップが今年最初の大会として開幕した。
しかし、ソフトボールは、そのほかの世界中のスポーツ同様、3月のCOVID-19パンデミック拡大のためその活動は一切中断され、これから数十年人々の記憶に残る比類なき1年を迎えた。
ドン・ポーター氏の死去
そうした数々の前例なきニュースが続く中、なお一層ソフトボール界に衝撃を与えたのは、元国際ソフトボール連盟(ISF)の会長で世界野球ソフトボール連盟(WBSC)共同会長だったドン・ポーター氏が6月7日(日)にこの世を去ったことだろう。享年90歳、自宅のオクラホマシティでなくなった。
「WBSCとソフトボール関係者は、ソフトボール国際化の主要な立役者であったDon Porterの死を悼みます。」とWBSCのフラッカーリ会長は語った。「ソフトボールは彼のビジョン、努力、数十年にわたる奉仕のおかげで、1996年に初めてオリンピックスポーツになりました。WBSCを立ち上げその組織に名をつけたのも彼です。彼はもっとも影響力のあったリーダーの一人として今や世界139カ国以上でプレーされているソフトボール史に残るでしょう。」
各国連盟、競技団体の幹部ら、ファン、アスリートが追悼した。またWBSC執行役員会も伝説のソフトボールリーダーに哀悼の意を表した。
さらに6月13日世界ソフトボールの日(2005年にソフトボールが初めてオリンピック種目に公式決定された日にちなんでポーター氏が決めたもの)とWBSCの新本部(WBSC史上最大の出来事)のオープニングセレモニーでもポーターの死を悼んだ。哀悼として、本部のオープンニングセレモニーではIOCのトーマス・バッハ会長がフラッカーリ会長と共に3本の木を植樹した。
「彼ほど素晴らしい競技推進者を知りません。ドンを3つの言葉で表現するなら場、それは高潔、情熱、努力でしょう。」とフラッカーリ会長は語った。
国際ソフトボールシーズン
今年最初の国際ソフトボール大会は1月30日から2月2日まで行われたWBSC承認のオーストラリアパシフィックカップで、オリンピック出場の4チームも出場した。この大会はオーストラリア(2チーム)、イタリア、日本、メキシコ、ニュージーランド、チャイニーズタイペイの7チームが出場。二刀流・藤田倭の輝く活躍で日本は8試合全て勝利した。
2月22日から3月1日、12カ国のトップ選手たちが一堂に会するWBSC U-18 男子ソフトボールワールドカップがニュージーランドのパーマストンノースで行われた。コルクホーンパークで開幕戦が行われた時、誰もこれがWBSCの今年最後の大会になるとは想像していなかった。
2020年はそのほかWBSC U-18女子ソフトボールワールドカップがペルーのリマで開催予定だった。8月23日から30日に予定されていたこの大会は4月1日に最初に変更されたが、その3か月後には2021年の開催延期が発表された。
2021年3月に実施変更されていたが、パンデミックの現状を考慮してWBSCと大会組織委員会は8月28日から9月5日に変更した。
2020年に行われたなかった大会はこれだけではない。
東京2020(2021)
3月24日、IOCが東京2020オリンピック競技大会の延期を発表し、その1週間後に2021年7月23日から8月3日の変更が決定した。
東京2020の延期発表は世界を震撼させた。世界中の野球ソフトボールのアスリートたちがこの知らせに反応した。「WBSCはこの困難な時期にオリンピックムーブメントと日本と連帯し、2020東京オリンピックの日程変更に合わせて予選大会など柔軟に対応した。」とWBSCのリッカルド・フラッカーリ会長は語った。
2020オリンピック出場の6チームはすでに決定しており(オーストラリア、カナダ、イタリア、日本、メキシコ、アメリカ)、五輪組織委員会はオリンピックソフトボール大会の最新日程詳細が決定し、ソフトボールは東京2020で来年7月21日に公式開幕戦を行う栄誉を得た。
オリンピックソフトボール大会の最初の6試合は2011年東日本大震災で被災した福島で行われる。「ソフトボールで東京オリンピック2020が開幕できることを、謙虚にそして光栄に思います。団結して再建された土地にとってスポーツのもつ独特の力を発揮できるところは他にありません。世界中の観客にオリンピック理念を伝える強いメッセージを送ることになります。」」とフラッカーリ会長は加えた。
国際試合日程の変更
オリンピック競技大会の延期により、他の大会も延期が決まった。2021年はオリンピックがメイン大会となるため、予定されていたWBSC女子ソフトボールワールドカップ2021はその2年後の2023年に延期した。ワールドゲームズが2022年度女子ソフトボール最高峰の国際大会となる。
パンデミックはまたWBSC男子ソフトボールワールドカップにも影響した。もともと2021年2月20日から28日の予定だったが、この男子ソフトボール最高峰の大会は1年延期され2022年にオークランドで行われる。
男子ソフトボールに関しては、U-23 男子ソフトボールワールドカップ2021がアルゼンチンで開催が決定した。
世界のソフトボールリーグ
COVID-19 感染拡大後に試合再開した世界最初のソフトボールリーグは2020年4月25日に開幕した台湾プロ女子ソフトボールリーグ(TPWSL)だ。レギュラーシーズン80試合と二つのプレーオフシリーズが行われ、第7試合でKananan EaglesがNew Century Waspswp6対1で破りTPWSL優勝に輝いた。
2020年もその他の明るいニュースといえば、画期的なアスリート・アンリミティッド・ソフトボールリーグの新設シーズンが8月に開幕したことだ。2度のオリンピックメダリスト、キャット・オスターマンと11人のWBSC世界優勝者が主役となり、この5週間で30試合の世界大会では56名以上のトップ選手が出場した。このシーズンの後、オスターマンは初のアスリートアンリミティッド王者に輝いた。
シーズンを開幕した三つ目のプロソフトボールリーグは日本ソフトボールリーグだ。前期シーズンは中止されたが、後期シーズンでは日本のエース、上野由岐子が決勝トーナメントを制し、ビックカメラBee Queenが2連覇を果たした。
この夏、ヨーロッパの大半は短縮してリーグシーズンを終了した。パンデミック後の最初の国際大会はヨーロッパで行われたWBSC承認の6試合シリーズでオランダがドイツを破った。
2020年レビューシリーズ
2020 - 野球 前例なき1年の国際野球シーズン
2020 - U-18 男子ソフトボールワールドカップ 2020年に行われた唯一の国際野球ソフトボール大会で日本が優勝
2020年 振興発展 世界的なパンデミック禍も発展を続ける野球ソフトボール
2019 WBSC総会からこれまでの1年を評価「多くの意味で忘れられない1年」
2019 レビュー