2019年レビュー U-19ソフトボールワールドカップ アメリカ初の3連覇
30/12/2019 1 記事を読む目安時間

2019年レビュー U-19ソフトボールワールドカップ アメリカ初の3連覇

アメリカのアーバインでこれまでの世界選手権が新たにワールドカップに改名されて開催。さらにこれが19歳以下カテゴリー最後の大会となり、2020年からはU-18 ソフトボールワールドカップとなる。

カリフォルニア州のアーバインで行われたU-19女子ソフトボールワールドカップ決勝はピンチヒッターFrancesca Hammoudeの大活躍でアメリカは7度目優勝、初の3連覇を記録した。

宿敵日本の3対0リードで迎えた延長9回裏、今大会9度しか打席に立たなかった19歳オークランド出身のHammoudeがバッターボックスに立ち、スリーラン本塁打を決めた。そして最後にJasmine Freedが勝ち越しタイムリーを放ち逆転勝利を果たした。


激闘の末4対3に終わった決勝は世界のソフトボール界や競技関係者から賞賛された。世界のソフトボール大国アメリカと日本は来年東京オリンピックでも優勝候補として注目されているが、この決勝でこの強国2チームは世界のソフトボールの質の高さを世界に証明した。

アメリカと日本はこれまで U-19女子ソフトボールワールドカップの決勝で過去11回(うち10回連続)対決している。最多優勝数はアメリカの7回、続いて日本5回、中国1回。アメリカはこのユース女子ソフトボールカテゴリーで初めて3連覇に輝いた。直近6大会では5度目の優勝。

決勝はまさに国際女子ソフトボールの質の高さを披露した。7回まではトップ投手同士の投手戦が繰り広げられた。日本は左投げ後藤希友は緩急自在でアメリカ打線を翻弄し、アメリカの左投げMegan Faraimoはこの日圧倒的な投球を披露していた。

延長に突入した8回表、日本が Faraimから3点を奪い、これで日本の勝利が決まったと誰もが思った。しかしその裏Hammoudeがバッターボックスに現れた。走者2名、ワンボールで後藤の完璧なチェンジアップを見送ると、二球目のチェンジアップをしっかりと捉え、左フェンスをはるかに超える同点本塁打を放った。

「Godinに代わりバッターボックスに呼ばれ、自分がなんとかしなければと思いました。ただのヒットではない長打が必要だとわかっていました。とにかく落ち着いてプレーすることを心がけました。これまで日本について研究していましたから、チェンジアップが打てるように一生懸命練習してきました。今本当に嬉しく思います」とHammoudeは試合後に語った。

同点に並び、二死走者なしでEcholsがバッターボックスに立った。ボール二つを見送り3球目を叩き込んだ。中川唯の果敢なプレーにも関わらず、打球はセンターを抜ける余裕の三塁打。次の打者Jasmine Freedがカウント1−2で放ったゴロをショート今村あこは捕れず、Echolsはそのまま本塁に生還して勝ち越した。

アメリカのHeather Tarrヘッドコーチは「私たちはタフで打たれ強いです。今大会で1点も自責点を許さなかった投手から3点を覆すことは本当に大変なことはわかっていたが、できると信じていました。」と選手たちを褒め称えた。

アーバインでのこの大会はこれまでの世界選手権を改名した初のソフトボールワールドカップだ。この新しいソフトボールワールドカップというブランドと大会形式は2018年WBSCソフトボール理事会が決定した。WBSCはU-19 女子ソフトボールワールドカップの新ロゴと新しいトロフィーを披露した。

また19歳カテゴリーの大会はこれで最後となり、2020年からこの大会はU-18ワールドカップとして生まれ変わる。

U-19女子ソフトボールワールドカップは新しい大会形式となった。この最大規模の国際ユースソフトボール大会は8日間62試合が繰り広げられた。出場した16チームは4つのグループに分かれた。 

U-19 Women’s Softball World Cup groups

 

3日間に及ぶオープニングラウンド24試合の後には、各グループの上位2チームがスーパーラウンドに進出し、下位2チームはプレースメントラウンドで順位を決定した。アメリカ、メキシコ、日本、オーストラリア、プエルトリコ、中国、カナダ、チャイニーズタイペイがスーパーラウンドへ進出した。そしてスーパーラウンド上位2チームとなったアメリカと日本が決勝で対決し、3位決定戦ではカナダがオーストラリアを5対4で制してユース女子ソフトボール大会で初のメダル獲得を果たした。

カナダはまだジュニアもしくはU-19女子ソフトボールの国際大会でメダルを獲得していない。オーストラリアとの試合では試合序盤でリードしたが、カナダの豪速球リリーバーMadelyn Hickingbottomはオーストラリアの逆転を防げなかった。

WBSC U-19女子ソフトボールワールドカップの62試合は世界中に無料中継された。WBSCはEleven Sportsと合意してイタリアと台湾で放送された。ラテンアメリカではオンラインAYM Sportsよりスペイン語で実況中継された。そのほかの国では全62試合がWBSCのOTTプラットフォーム「Game Time」から配信された。

次のU-18女子ソフトボールワールドカップは2020年8月21日から30日までリマのペルーで開催される。