2019年レビュー 発展振興 アフリカ発展振興プログラム&女子野球が今年度大きく発展
23/12/2019 1 記事を読む目安時間

2019年レビュー 発展振興 アフリカ発展振興プログラム&女子野球が今年度大きく発展

2019年、世界野球ソフトボール連盟(WBSC)は野球・ソフトボール発展振興を推進し続け、さまざまなプログラムを世界中で行なった。特に野球とソフトボールが浸透していなかった国や発展振興が初期段階にある国などで多くの活動を展開した。

7月より、アフリカ全土で野球ソフトボール競技を発展させるための効率的な振興プログラム「アフリカ発展振興プログラム(ADP)」が開始した。

WBSCの優先事項の一つはアフリカの競技を発展させてWBSCの果敢な振興目標に到達することだ。アフリカでは国内連連盟と連携して助成支援や物理的支援、コーチや審判員の講習を行い国内連盟と連携して行える広範囲な活動を展開している。

このADPはWBSC発展振興委員会とアフリカ野球ソフトボール協会(ABSA)がWBSCアフリカ野球サミット2017(南アフリカ・ヨハネスバーグ)で取り決めた共同プログラム。

このプログラムは3段階で実施。第1段階では、国内連盟スタッフの管理技術の育成、第2段階では連盟そのものの技術的発展、第3段階ではWBSCが国内連盟の大会運営をサポートする。

このプロジェクトはWBSCのスタッフと共に、2019年にはケニアザンビアコートジボワールレソト南アフリカの5カ国で行い、プログラムの第1段階が終了した。120名が参加し、スポーツマネージメントに関する知識や技術を習得した。参加者らは地元の行政団体、スポーツ局、メディア、一般公共などとの関係構築や、さらに中期・長期プランの概念やアスリート育成の重要性などについても学んだ。

来年、WBSCは再びコートジボワール、ケニア、レソト、南アフリカ、ザンビアを訪問し、連盟の技術面にフォーカスをあてたプログラム第2段階を行う。さらにWBSCは英語圏のニカラグア、ガーナ、フランス語圏のベニン、ブルキナファソ、コンゴ、トーゴ、チュニジアでもプログラム第1段階を行う予定だ。

そのほかのアフリカの国はそれぞれのニーズや可能性に適した振興活動を行った。2月にはザンビアではスコア記録員、審判員、野球・ソフトボール・ベースボール5のコーチのための5つの講習会が開かれた。コーチ委員会メンバーのAndrea D’Auria氏が野球コーチインストラクター、Valeria Bortolomai 氏がソフトボールコーチインストラクターを務め、二人はベースボール5の講習会も行なった。スコア記録委員委員会メンバーのMaurizio Ronchi氏がスコア記録員セミナーを開催、Vincent Maoeng氏(野球)、 Abel Mataboge氏(ソフトボール)は審判員インストラクターを務めた。

女子野球

WBSCは女子野球の振興発展にも尽力し、初の女子野球推進プログラムを開始した。

WBSC振興発展委員会のサポートで、WBSC女性推進委員会は世界中の少女や女性の継続的な発展のための女子野球振興プログラムを開始した。

この国際プログラムの第1段階は11月15日から17日までインドネシアで行われ、日本とオーストラリアのWBSC女子野球発展委員会メンバーであるトップコーチが参加した。WBSCコーチは選手とコーチに3日間に及ぶ、ピッチング、ヒッティング、走塁、内外野の守備などについての指導。WBSCコーチが試合を観察し、参加者たちに助言などをした。

グローバル発展振興プロジェクト

WBSCは世界のさまざまに競技が広がるよう、従来の野球ソフトボールコーチ講習会からベースボール5の紹介、さらにスポーツマネージメントプロジェクトなど多岐に渡る広範囲な発展振興活動を行なうよう努めている。

さらに今年の大きな発表としては、U-12ベースボールワールドカップのために1億3000万USドルを投資して台湾に建設された新球場のオープン2019WBSC総会で新たに加盟した7連盟の一つであるラオスなどの国で行われた振興発展プロジェクトがある。

2018・2019年度にWBSC発展振興委員会に申し込まれた各国内連盟のプロジェクト数は90件にのぼり、そのうち75件(83パーセント)が申請に通り助成金が下りた。却下されたのはわずか4件、11件は現在結果待ち。

申請のほとんど(39件)がヨーロッパの国内連盟からで、そのほかはアフリカ20件、アジア12件、アメリカ大陸10件、オセアニア9件。

発展振興委員会の委員長でWBSCのアンジェロ・ビチーニ氏は第3回WBSC総会で発展振興活動に関するグラフを報告した。「申請の多くは用具、コーチ講習会、審判員とスコア記録員講習会でした。今後は用具を提供する前に実際のニーズはどのぐらいあり、どのようにその用具が使われるのかなどを見極める必要があるでしょう」とビチーニは語った。

役員育成

WBSCはまた審判員、スコア記録員、技術委員など国際大会ですでに活躍する役員の数を増やすための取り組みを行なった。

「WBSCの大会数が増え続けているので、資格ある大会役員の必要性も大きくなってきました。」とWBSCのホアン・ガルシア大会部長は語った。

6月には62名の技術委員、審判員、記録委員がカリフォルニアのサンホセで行われた5日間の画期的な講習会に参加した。野球・ソフトボールの大会役員3職が一緒に講習会をするのはこれが始めて。講義と実技講習を受け大会役員の数の増員とレベル向上を図った。

またタイのバンコクではWBSCとアジアソフトボール連盟(Softball Asia)が、技術委委員、スコア記録委員、チーフ審判員、審判員認定の4つの講習会を開いた。参加者はアジア10カ国から集まる70名。「この4つのセミナーは素晴らしい育成の機会となりました。この講習に参加した人たちは知識と経験を必ず深めることができるでしょう」とWBSC事務総長でアジアソフトボール連盟会長のロー・ベンチュウ氏はコメントした。

ウガンダ野球ソフトボール協会(UBASA)もWBSCのサポートを得てスコア記録員、審判員、ベースボール5のコーチ講習会を開催した。甲種会はウガンダのカンパラにあるKyambogo College Schoolで2月15日から17日まで行われた。この講習会には審判員10名と記録委員11名が参加した。

コーチ講習会

WBSCは競技発展振興のためには高い役員や国内連盟のマネージメント向上以外に力を入れているのは、各国で選手を育てる役割を担うコーチの技術向上も目指している。

オリンピックソリダリティの助成金を通してブルガリアソフトボール連盟は11月にソフトボールのピッチングとヒッティングを専門としたコーチ講習会をソフィアの技術大学で開催。講師にはコーチとして国際的に活躍するKyla Holas氏とCraig Snider氏が招かれた。レベル1の講習会は参加した50名ほどのブルガリア人コーチや選手に知識を深めてもらうことを目的とし、練習技術、ソフトボールの最新トレンドについて学んだ。

オリンピックソリダリティ助成金でトルコでも野球、ソフトボール、ベースボール5の発展活動を行なった。アスリートコーチや審判員がアンタルヤの沿岸都市で行われた一連の講習会に参加した。これはWBSCとWBSCヨーロッパがトルコオリンピック委員会、トルコ野球ソフトボール・アメリカンフットボール、ラグビー連盟と協力して実現したもの。

WBSCはまた、アジアソフトボール連盟とマレーシアソフトボール協会との連携で、7月にベースボール5コーチ講習会をマレーシアのクアラルンプールで行なった。参加した62名のコーチはマレーシア、ベトナム、シンガポール、パキスタンから集まった。

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