世界野球ソフトボール連盟(WBSC)と世界の野球・ソフトボール界にとって、2023年もエキサイティングな年となった。
U-23男子ソフトボールワールドカップ、U-15女子ソフトボールワールドカップ、ユースベースボール5ワールドカップ、ベースボールチャンピオンズリーグ、そしてWBSC/コナミの eベースボールシリーズの初開催が、この1年間WBSCを大きく盛り上げた。
新しい大会フォーマット、世界各地での野球とソフトボールの新しいリーグの開催、ベースボール5初の世界ランキング、WBSCワールドカップ(ユースベースボール5ワールドカップ)のトルコでの初開催、WBSC初の年次ガバナンス報告書とインテグリティ・ユニット年次報告書のリリース、そして初のオンサイト・セーフガード・ワークショップなどもあり、WBSC会長のリッカルド・フラッカーリは年末の挨拶で「WBSCは2023年も大きな前進を続け、私は今年私たちとともに達成したすべてのことを心より誇りに思います」と1年を振り返った。
ロサンゼルス2028
2023年の大ニュースの一つは第141回IOC総会で野球とソフトボールがロサンゼルスオリンピックの正式種目として追加されたことだろう。
「WBSCは、野球とソフトボールが何百万人ものファンをオリンピックに引き込むことができると確信しています。LAでは、世界最高の野球選手とソフトボール選手が、何十億人もの世界中の観客の前での大舞台でプレーする機会を得ることになり、会場は熱気に包まれることでしょう」とフラッカーリ会長はコメントした。
1992年のバルセロナオリンピックで初めて実施されて以来、男子野球は7度目のオリンピックとなり、ソフトボールは1996年のアトランタオリンピックでデビューして以来、6度目となる。
前回の東京2020大会では、野球とソフトボールの決勝戦で日本がアメリカを破り、世界中のメディアで大きく報道され、野球の決勝戦のテレビ視聴率は過去最高を記録した。
また2026年のユースオリンピックでのベースボール5初開催も楽しみだ。2023年、WBSCは第1回ユースベースボール5ワールドカップを開催。第2回大会はユースオリンピックの予選大会を兼ねる。
大会の新設で野球/ソフトボールがもっと豊かに
メキシコのメリダにあるククルカン・アラモ・パークで、第1回ベースボール・チャンピオンズリーグ・アメリカ大陸が開催された。
今シーズン最後の男子野球大会となったこのチャンピオズリーグは重要なマイルストーンとなった。大会前の記者会見で、ギジェルモ・ラミレス・コミッショナーと主催者であるメキシカン・ベースボール・リーグのオラシオ・デ・ラ・ベガ会長は この大会は「国際野球を永遠に変えるだろう」とコメントした。
大会には4リーグ(メキシコ野球リーグ、アメリカン・アソシエーション、コロンビア・プロリーグ、キューバのナショナルリーグ)が参加したが、今後リーグ戦形式を取り入れることも視野に含まれている。次のステップはチャンピオンズリーグ・アジアとチャンピオンズリーグ・ヨーロッパを立ち上げることだ。
2023年、WBSCは女子ソフトボールワールドカップと女子野球ワールドカップに新たに2ステージ制を導入した。
この新方式は、より多くのチームやアスリートが世界の舞台で活躍する機会が増え、参加という観点から大きな成功を収めただけでなく、より多くの開催都市が国際的な野球とソフトボールのスターを迎えることができるようになり、また一つ一つのグループの開催期間は短く、各都市で一つの会場で試合を行うことが可能になった。
女子ソフトボールワールドカップは、アイルランド、イタリア、スペインで3グループを主催した。
女子野球ワールドカップのグループステージは、カナダと日本が開催国となった。
さらにソフトボールは、2023年にU-23男子ソフトボールワールドカップとU-15女子ソフトボールワールドカップの2大会が初開催を迎えた。
WBSCがコナミと提携 未来は今
2月、WBSCは 株式会社コナミデジタルエンタテインメント(KONAMI)が制作した日本の野球ゲーム『WBSC eBASEBALL™:パワフルプロ野球』の配信を開始し、新たな視聴者の獲得に成功した。
どうゲームは発売から2ヶ月足らずで世界140カ国に配信され、爆発的なダウンロード数を記録した。
WBSC公式ゲームの最も大きな露出は、シンガポールで開催されたオリンピックeスポーツシリーズ2023の決勝戦だった。同シリーズに参加した10種目のバーチャルスポーツの1つであった。
『WBSC eBASEBALL™: パワフルプロ野球』は、オリンピックチャンネルのYouTubeプラットフォームでライブストリーミングされ、約200万ビューを集めた。
そしてWBSCはKONAMIと共同で、日本最大級のゲーム見本市である東京ゲームショウ2023において、『WBSC eBASEBALL™シリーズ』と『WBSC ePremier12™』を発表した。
毎週開催されるこの大会では、各国連盟やパートナーが登場し、ゲーム内のスタジアムも提携スポンサーのロゴが使われている。
今年は、予選のひとつであるUSAファイナルが、メジャーリーグのトリプルA傘下タンパベイ・レイズの本拠地であり、アメリカで最も象徴的なマイナーリーグ球場のひとつであるダーラム・ブルズ・アスレチック・パークで開催され大きく注目された。
WBSCデー 世界の野球・ソフトボール界の団結を祝う
12月に開催されたWBSC総会では、WBSC定款の一部更新が承認され、WBSCを率いる執行役員会を1つに統合し、野球とソフトボールの2つの常設委員会がそれをサポートすることで、それぞれの種目の最善の利益が代表され続けるようにすることとなった。WBSC執行役員会の野球とソフトボール担当の正副会長がそれぞれの委員会の委員長を務める。
執行役員会には、10名の大陸協会の代表も加わる。各大陸は野球とソフトボールの代表を1名ずつ選出する。2022年に任命されたWBSC委員会は、引き続き役員会をサポートする役割を果たす。
世界野球ソフトボール連盟(WBSC)は2024年5月10日に設立10周年を迎えるが、2025年の総会までに施行されるこの定款変更の主な理由は、様々な種目を持つ1つの競技としての野球/ソフトボールの統一を反映させることである。
リッカルド・フラッカーリ会長は加盟連盟への報告書に「WBSCは、2022年6月に台北市で開催された前回の総会以来、飛躍的な進歩を続けており、この間に達成したすべてのことを心から誇りに思います」とし、「私たちが行うすべてのことは、私たちのスポーツとアスリートの継続的な発展を保証することです」と記した。